大学チャンネル.com » 2013年9月1日アップ » わたしには夢がある。だけど、夢はいつの間にか義務感に変わっていた
コラム
今村亮の誌上“カタリバ” 大学生×高校生 自分の未来は自分でつくる!

わたしには夢がある。だけど、夢はいつの間にか義務感に変わっていた
あなたには、夢はありますか?
小さい頃、僕たちはたくさんの夢を言葉にしましたよね。「新幹線になりたい」「プリキュアになりたい」なんて。でも小学校を卒業し、中学校も卒業し、高校に入った今、あなたは夢をどんなふうに語れるでしょうか。
夢を語ることが怖い、夢なんて叶うはずがない、親や先生に反対されている、夢が見つからなくて焦る、何がやりたいかわからない……そんな風に思っていませんか? しかし、夢からは逃げられません。誰もが夢と折り合いをつけて、それぞれの進路へ旅立たなければなりません。
このコラムは、全国140の高校に、高校生と大学生が語り合う出張授業「カタリ場」を届けているNPOカタリバが、大学生の進路選択のドラマをお伝えするために書いています。少しでも現場の熱気が伝わるといいんだけど。
今回のテーマは夢です。
「わたしには夢がある。絶対に客室乗務員になる」
そんな大学生活を過ごしてきたのは、女子大生のみなみんです。小学生の時に初めて乗った飛行機で彼女は素敵な客室乗務員さんに出会いました。その小さなきっかけで、彼女の人生は変わりました。みなみんの小学校の卒業アルバムには、「客室乗務員になる!」と書かれていて、中学校の卒業アルバムにも「客室乗務員になる!」と書かれています。大学受験でも、客室乗務員の採用実績がある東京の女子大を探したらしい。
みなみんがカタリバに参加したのは、大学2年の春だったと思います。みなみんはカタリバで夢を持つ大切さを高校生に語り続けました。客室乗務員を目指して通い始めた専門学校とのダブルスクールのこと、ミャンマーでのボランティアのこと、有名企業でのインターンシップのこと。みなみんは客室乗務員になるんだろう、そう誰もが信じて疑いませんでした。だからこそ、大学4年になった春、みなみんからこんなメールが届いたことに僕は驚きました。
「来年度からの最終的な、進路のご報告をしたく、ご連絡いたしました!最終的に、人材会社の総合職として来年度の進路を、決定いたしました。女の子のキャリアを考える機会に仕事を通して関わっていきたいと思っています」
みなみんは客室乗務員にならなかったのです。
「わたしは、“客室乗務員になりたいみなみん”に縛られすぎていたのかも。夢を叶えなきゃ、という義務感に追い詰められている自分に気づきました」
みなみんだけじゃない。高校生の時になりたかった職業を、そのまま目指している大学生はごくわずかかもしれないし、それでいいと思います。大学は高校生には予想もできないような、さまざまな出会いと機会に満ちている場所。そこで視野が広がったら、新しい世界に気づけばいい。夢は変わっていい。
「正直、怖かった。自分の夢が変わったことをみんなに伝えるのは勇気がいりました」
夢が変わっても、夢と歩んできた経験は変わりません。客室乗務員になるための挑戦を通して、みなみんは新しい自分を踏み出しました。
だから、カタリバの授業では、今日も夢が語られます。もしかしたら、カタリバはあなたの学校にも訪れるかもしれません。
