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大学入試を選ぶ

 現在、高等学校卒業者(現役生)の過半数が4年制大学・短大に進学している。既に数字の上では、志願者全員が入学できる“大学全入時代”に限りなく近づいている状態だが、誰もが自分の「入りたい大学」に合格できるというわけではない。
その一方、近年の大学入試の多様化・複雑化と、多彩さを増す学部・学科(の名称や内容)が相まって、“大学、学部・学科の選び方”や“大学の入り方”は、それほど単純なことではなくなっている。憧れの“入りたい大学”への“入り方”を知って、自分に合った入試を選ぶことは合格への第一歩。
大学入試の仕組みをちゃんと理解して、自分が最も力を発揮できる入試を見極め、しっかり対策を進めよう!

高校卒業者の7割以上が現役で高等教育機関に入学

lockon18_a_img01  文部科学省の学校基本調査(毎年5月1日現在の調査。8月に速報、12月に確定値を公表)によると、2013年度高等学校卒業者(現役生)の大学(短大を含む)等進学率は53.2%で前年度より0.3ポイント減。専門学校(専修学校の専門課程。以下同様)進学率、就職率は各17.0.%で、いずれも前年度より0.2ポイント増だった。
 現役生の大学等進学率は2010年度の54.3%をピークに、2011年度53.9%、2012年度53.5%と微減傾向にある。そして、2004年度以降、減少し続けていた専門学校進学率は2009年度の14.7%から反転し、4年連続の上昇となった。いずれにしても、2010年度以降は大学等進学率と専門学校進学率の合計が7割を超えた状態が続いている。つまり、高等学校卒業者の7割以上が現役で高等教育機関に入学していることになる。
 学校基本調査によると、2013年5月1日現在、4年制大学は782校(通信教育のみを行う私立7校を除く)で前年度より1校減少。設置者別の内訳は、国立大学86校(11.0%)、公立大学90校(11. 5%)、私立大学606校(77. 5%)となっている。
 一方、私立大学・短期大学の「学校法人基礎調査」を行っている日本私立学校振興・共済事業団の2013年度の調査結果(私立大学576校の集計)では、入学定員、志願者数、受験者数、合格者数、入学者はいずれも増加。18歳人口が前年に比べて約3万9千人増加したという背景もあって、入学者数は9千人以上の増加となり、4年制私立大学の入学定員充足率は1.39ポイント上昇して105.6%になった。入学定員100%未満(未充足)の大学は32校減少して232校になり、大学全体に占める未充足校の割合は前年度から5.5ポイント減の40.3%に。2014年度は18歳人口が約5万人減少するが、その動向が注目される。 lockon18_a_img02

4年制私立大学では過半数が推薦・AO入試での入学者

 昨年10月に文部科学省から公表された「国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」では、2012年度入試の4年制大学入学者のうち、学科試験が課される一般入試での入学者は全体の約56%(前年度もほぼ同じ)。私立大学(4年制。以下同様)では、一般入試による入学者は約49%(前年度は約48%)で、推薦入試やAO入試での入学者が過半数を占めている。
 AO入試など「学力検査のない入試方式の拡大が大学生の学力低下の一因になっている」という中央教育審議会の指摘を受けて、国公立大学では推薦・AO入試の定員を削減する動きが見られた。ところが、最近の国立大学のAO入試による入学者の割合は、2010年度2.6%、2011年度2.7%、2012年度2.9%と微増傾向となっている。  これに対して私立大学では、少子化が進む中での学生獲得のため、推薦・AO入試の定員を増やし続けてきた。ところが、2010年度10.5%、2011年度10.4%、2012年度10.2%と、私立大学のAO入試による入学者の割合は微減傾向にある。同様に推薦入試による入学者の割合も、2010年度40.9%、2011年度40.7%、2012年度40.3%と微減を続けている。
 私立大学では、これまでに拡大しすぎたAO入試にやや歯止めをかけようという傾向が、逆に、国立大学では、学力だけではない、受験生の意欲や個性をAO入試や推薦入試によって見ようとする傾向が現れているのかもしれない。 lockon18_a_img04

私立大学専願でもセンター試験を活用することが

lockon18_a_img03  ほとんどの国公立大学志望者にとって避けて通ることのできない第一関門となっている大学入試センター試験(以下、センター試験と略)は、1979年度の国公立大学入試に“共通一次試験”として導入、1990年にセンター試験に変更された。文部科学省は先ごろ、センター試験の廃止と新たな「到達度テスト」の導入についての検討を始めた。とはいえ、制度が変更される目処は最短でも5年後の見込みとされ、現時点での中学2年生以上は、これまで同様にセンター試験と関わることになる。
 センター試験に参加する私立大学は年々増え続け、毎年、過去最多を更新してきた。2014年度入試でも、私立大学の約86%にあたる521校の参加が発表されている(8月30日、大学入試センター公表)。私立大学では新たに5校が参加し、国際基督教大学など4校が参加をとりやめた。
 私立大学専願でも、センター試験を受験しておけば、複数の大学の学部・学科に出願でき、併願も可能になる。出願数に応じた受験料は当然、必要になるが、私立大学の多くが、センター試験利用入試の受験料を一般入試よりも安く設定したり、同じ大学の複数の学科や異なる方式に出願する際に、割引制度を適用するなどしている。
 2014年度入試でセンター試験を受験するためには、10月11日までに検定料の払い込みを終えるとともに、現役生は在籍する高校経由で出願手続きを済ませなければならない。2012年度から、出願時に受験する教科名・科目数を申請し登録する「受験教科事前登録制度」がスタートし、試験当日は登録された教科のみ受験可能(地歴・公民、理科については各試験時間に登録された科目数を受験する)となっている。
 参加大学での教科・科目の指定は複雑で多岐にわたっており、特に私立大学のセンター試験の利用方法は、大学、学部・学科ごとの違いが大きい。センター試験を有効に活用できれば、私立大学の合格のチャンスを増やすことにもつながるため、志望する大学、学部・学科の募集要項をよく確認してから、受験教科・科目を決めよう。

推薦・AO入試の出願時期は一般入試よりも早目の設定に

 一般的に私立大学入試の出願時期は、AO入試(~9月頃)、推薦入試(~11月頃)、センター試験利用型の入試(~1月中旬頃)、一般入試(~2月上旬頃)というのが実施スケジュールの目安となる。
 近年は、複数の出願時期が設定されていたり、3月下旬まで出願可能だったりというケースも珍しくないが、もちろん、のんびり構えることは禁物だ。出願時期が遅い入試は、募集定員がわずかしかないことも多いため、安易に考えないほうがいい。
 もし、「志望大学、学部・学科は決まっていないが、一般入試ではなくAO入試や推薦入試をねらいたい」と考えているなら、できるだけ早くから情報収集を始めることが大切だ。AO入試、推薦入試の出願時期は通常、一般入試よりも早いことを心に留め、準備や対策を進めよう。 lockon18_a_img05

指定校制・公募制推薦入試は推薦書とともに調査書を提出

 推薦入試の「推薦」は、出願の際に在籍(もしくは出身)高校の学校長の「推薦書」が求められることに由来している。しかし、現在は多種多様な推薦入試が実施され、自己推薦入試のように「(学校長の)推薦書不要」の推薦入試も増えている。
 推薦書が必要な推薦入試は、大学が指定する高校の生徒に限って出願が認められる「指定校制推薦入試」と、大学が定めた出願条件を満たした生徒が出願できる「公募制推薦入試」に大別される。基本的に、国公立大学は全て公募制。指定校制は私立大学のみで実施され、ほとんどの私立大学が指定校制と公募制を併用している。また、公募制推薦入試には、学業成績を評価する「一般(公募)推薦入試」と、スポーツや文化活動などの実績を評価する「特別(公募)推薦入試」があるが、一般推薦入試は、評定平均値が志望校の定めた成績基準を超えていないと出願できない場合が多い。
 なお、指定校制、公募制ともに、推薦書とともに評定平均値(全体の評定平均値)や学習成績概況、出席状況、特別活動の記録などが記載された「調査書」の提出が求められる。 lockon18_a_img06

AO入試は長い時間をかけて実施されることも

 AO入試は、志望大学で学びたいという受験生の意欲や目的意識、入学後の可能性を見つめ、高校時代の成績ではなく、受験生の“未来を評価”しようという入試。現在、4年制私立大学では約1割がAO入試での入学者だが、出願要件や選抜方法は大学(採用している方式)によって大きく異なっている。最初にその内容をしっかりと理解した上で、チャレンジすることが肝心だ。まずは募集要項等を詳細にチェックすることから始めたい。エントリーするためには、オープンキャンパスや入試説明会などへの参加が必要なこともあるため、開催スケジュールも調べておこう。
 個別学力試験を受けずに挑戦でき、自分の個性に合った大学をじっくり選ぶことができる点は、AO入試の大きな魅力にもなっている。ただし、1回の試験で合否が決まる入試とは異なり、さまざまな側面から受験生を丁寧に、総合的に評価するため、選抜には長時間(期間)を要する傾向も強い。複数の大学に出願し、時間がかかった結果、1校も合格できなかったというケースもある。
 また、国公立大学や人気の高い難関私立大学のAO入試では、高い評定平均値が求められたり、学力面を含めたかなり高い基準が設定されていたりする。個別学力試験が課されない(国公立大学ではセンター試験が課されることも多い)からといって、安易に考えないようにしよう。
 それに、私立大学では、かなり長期間にわたってAO入試を実施している場合もある一方、推薦入試の出願が始まる前にAO入試を終えてしまう大学も少なくない。推薦入試やAO入試は、「いざという時は一般入試への切り替えもできる」よう対策を考えておいたほうがいいだろう。 lockon18_a_img07

多様化、複雑化し続ける私立大学の一般入試

lockon18_a_img09  長い間、私立大学の一般入試は3教科型が中心で、文系学部では「英語(外国語)と国語が必須で、地歴・公民、数学から1教科選択」、理系学部では、「数学、理科、英語」が課されるタイプが一般的だった。それが近年では、文系学部は「英語か国語が必須。他に1科目選択」もしくは「任意の2科目を選択」という2科目型、理系学部は「数学、英語」や「数学が必須。理科と英語から1科目選択」などの2科目型の割合も多くなっている。あるいは文系・理系ともに「指定の1教科のみ」「指定教科の中から選択した任意の1教科」「受験した複数教科のうち高得点の1教科」で合否判定が行われる1教科型も珍しくない。
 そして、私立大学のセンター試験利用型の入試では、一般入試で課されることの多い1~3教科の出願科目の得点のみで(個別試験が課されずに)合否判定されるケースが大半だ。
 大学側の「受験生が少しでも有利な方式で受験できるように」という配慮は、受験科目数のバラエティのみならず、受験機会の複数化にも及んでいる。地方(学外)入試の実施(入試会場の複数化)、異なる日程・方式の実施(同じ学部・学科が複数回受験可能に)、「同じ試験科目の配点を出願日によって変える入試(得意科目が活かせる出願が可能に)など、受験生の気力、体力、経済力が許す限り、挑戦回数を増やすことができそうなほど。また、一度の受験で同じ大学の学部・学科が併願可能になる「複数(全)学部統一入試」を採用する大学も増えている。
 新たな入試方式の採用によって志願者の増加が期待されることから、私立大学入試は多様化の一途をたどってきた。その複雑さに圧倒されることなく、自分が最も力を発揮できる入試を見つけ出すためには、情報収集と仕組みの理解が大切だ。どんな入試にも言えることだが、面倒がらずに募集要項をしっかり読み込もう。

自分が「入りたい大学」にはどんな“入り方”があるのか

 現在、大学全体では志願者全員が入学できる収容力(入学定員)を持ち、選り好みをしなければ、誰でも「入れる」大学がある“ほぼ全入”時代を迎えている。ただし、「自分の入りたい大学に合格できる」こととイコールではないことをちゃんと認識しよう。
 多くの人が「入りたい(と希望する)大学」は依然として厳しい競争を勝ち抜かなくてはならない。私立大学の場合はなおさら、人気を集め高倍率になりやすい大学と、「誰でも入れるレベル」と見なされて受験生に敬遠され、定員割れを起こしている不人気の大学という二極化が進んでいるようだ。下記に2014年度に新増設される首都圏私立大学の学部・学科を掲載した。ここ数年来の不安定な経済状況から、「資格の取れる」「就職動向が堅調な」学部・学科が注目されているが、特に看護系が目立ち、医療系、保育・教育系も目につく。
 受験生の人気を集める学部・学科は、社会情勢や経済動向に敏感に反応しやすい面がある。「人気があるので」「目指す人が多いから」と雰囲気に流された選択をしてしまうと、入学後、「こんなはずじゃなかった」ということにもなりかねない。また、「資格が取れる」点を重視するあまり、本当に「その資格を活かした仕事に就きたいのか」「その資格が活かせる仕事に適性があるのか」がないがしろになっている場合があるかもしれない。
 現代社会はめまぐるしく変化し、4年(あるいは6年)後に大学を卒業した時、社会がどうなっているのか、どんな職業の人気が高いのかを予測することは難しくなっている。まずは、自分が学びたいこと、やってみたいことを手がかりに、それは、どんな大学、学部・学科なら実現できるのかを調べてみよう。
 そこから、「入りたい」と思える大学や、「学びたい」と思える学部・学科を探し、見つけたら、できるだけ早い段階から、どんな「入り方」があるのかを探り、入試制度についての情報収集をスタートさせよう。挑戦したい入試を選び、どんな力をつければいいのかを知ることが、合格可能性を広げるための第一歩になるだろう。 lockon18_a_img08

偏差値の意味を理解して合格可能性をあきらめない

lockon18_a_img10  大学入試が多様化し、国公立大学、私立大学ともにさまざまな入り口(入り方)が設定されている今、偏差値の偏差値の意味を理解して合格可能性をあきらめない持つ意味も以前とは変わっている。入学者の7~8割がセンター試験と各大学の一般入試(二次試験)で選抜される国公立大学の場合、
 偏差値は目安になりやすいが、二次試験で課される科目数や構成も、受験者数も異なるものを単純に比較することは難しい。偏差値自体は統計的な処理方法の一つの考え方に過ぎず、「人気があって受験者数の多い大学は高く」なり、「受験者数の少ない(人気のない)大学では低く」なりがちで、「入試科目数を少なくするほど、実際の難易度よりも偏差値は高く」なりやすい傾向がある。ましてや、学力試験では測れない受験生の能力や活動などを多面的に評価しようというAO入試や推薦入試については、偏差値は意味を持たない。
 模試の偏差値を気にし過ぎるあまり、現状で「入れる大学」を選ぶのではなく、自分の特性を最大限に発揮できるベストマッチングの入試方式を探し出し、しっかりとした対策をして、憧れの「入りたい大学」を、「入れる大学」に変えてしまおう!