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2014年度入試を探る

 年末~年明けには、私立大学の一般入試の出願受付が始まり、いよいよ2014年度の入試シーズンたけなわを迎える。18歳人口は来春、この春よりも約5万人4%)減少するが、ここ数年、大学志願率は横ばい状態となっているため、2014年度の大学志願者数も、同程度の減少率が見込まれている。だからといって、“(入りたい)大学に入りやすくなった”わけではないから、油断は禁物だ。私立大学入試の仕組みは多様化、複雑化しつつ、毎年、変更も加えられている。
最近はインターネット出願、ネット割引を取り入れる大学も増加しつつあり、受験生が出願しやすい環境づくりは拡大の一途。自分にとって本当に“お得”な入試制度をよく見極めて、第一志望大合格を手にしよう!

新設が続く看護系、医療系、保育・教育系

 少子化が続く中、2013年度の18歳人口は前年度に比べて4万人近く増加。4年制大学・短期大学への志願者数は前年度から19万人以上増加し、入学者数も約1万人増加した。来年度は逆に18歳人口が約5万人(4%程度)減少する。一方、長い間、上昇を続けていた大学進学率は2010年度をピークに横ばいの状態が続いている。18歳人口の増減はストレートに大学志願者数に反映されやすくなっていることから、2014年度の大学志願者数は4%程度の減少率が見込まれている。
 新課程初年度の入試となる2015年度入試では、入試科目や方式の変更も予想されるが、現課程最後の入試である2014年度入試では、どの大学も目立った(大きな)変更は見られない。とはいえ、近年の私立大学入試の仕組みが多様化、複雑化していることは変わらず、毎年、何らかの変更が行われている。志望大1校ごとに、しっかり募集要項をチェックすることの重要さは言うまでもない。
 少子化と大学進学率の伸び止まり状態が続いても、毎年、大学・学部・学科の新設が行われている。私立大学・短期大学の「学校法人基礎調査」を行っている日本私立学校振興・共済事業団の2013年度の調査結果(私立大学576校の集計)では、2013年度の私立大学入試で最も志願倍率が高かったのは、医学系統の26.6倍(前年度は23.9倍)。以下、農学系統11.2倍(同10.4倍)、理・工学系統10.3倍(同9. 4倍)、薬学系統9. 1倍(同7. 1倍)、教育学系統7.7倍(同7.1倍)と、いずれも前年度より倍率を上昇させている。
 来年度、新設される私立大学3校を含めて、全国の16私立大学が看護系の学部・学科を新設し、看護系の入学定員は約1,500人増加する。5頁の表のとおり、首都圏の私立大学にも、多数の看護学科が新設され、同様に資格系の医療系、保育・教育系の学部・学科の新設も目に付く。 lockon19_a_img01

より就職に結び付きやすい「資格志向」の学部選択

 景気回復のきざしが見えにくい中で受験生と保護者の「資格志向」は根強く、より就職に結び付きやすい(とイメージさせる)学部系統が人気を集める傾向は変わっていない。
 6年制薬学部がスタートした2006年以降、薬学系統の志願者数は減少し続けていたが、2011年度から増加に転じ、2012年度に100%を超えた定員充足率は2013年度も上昇。6年制の定着と卒業生の好調な就職状況、学費の値下げ傾向などが人気回復の要因と考えられる。同様に、歯学系も人気低迷期を脱して、2012年度以降は志願倍率(2.2 倍→ 2.7 倍→ 3.1倍)、定員充足率(69.6%→80.6%→82.1%)と回復を見せている。
 自分が目指す学部・学科の志願倍率の動向が、系統全体の志願倍率(人気)の変動と常に一致するわけではないし、前年度に高倍率だった学部系統が受験生に敬遠されて翌年度は倍率を大きく下げる(あるいはその逆の)「隔年現象」も起こりやすい。さらに、定員充足率が100%を大きく上回っている学部系統で、翌年度の合格者数の絞り込みが行われることがある点も注意しよう。 lockon19_a_img02

統一入試に出願しておけば併願がラクになる?

 1月18日・19日の大学入試センター試験を終えると、私立大学の一般入試がスタートする。今や「目指す学部・学科の入試は1回限りの勝負」というのは昔の話になりつつある。もちろん、チャンスが1回のみの場合も少なくないが、さまざまな入試方式によって、受験生に複数回の挑戦チャンスを与えようというのが、昨今の私立大学入試の傾向。
 1日で全学部の入試を行う「全学(部)統一入試」は、「第一志望学部・学科の受験チャンスを増やす方式」でもあり、「1回の受験で同じ大学の複数の学部・学科の併願が可能になる方式」でもある。当初、関西圏の私立大学で多く導入されていたが、首都圏でも、明治大学、法政大学、立教大学、東京理科大学などで相次いで実施され、導入する大学は年々増加している。
 別日程で実施される志望学部・学科の入試とともに挑戦のチャンスが増えることは、受験生にとっての朗報に違いない。また、どうしても○○大学で学びたい、という受験生にとっても、学内併願しやすくなり、合格可能性を広げられることが期待される。複数出願しても受験は一度でよく、2出願目から受験料(入学検定料)の割引制度を設けている大学がほとんどのため、学部・学科ごとの入試を併願するより、経済的負担も軽減される。
 受験科目のパターンなどによって、最大併願可能数は大学ごとに異なり、2014年度入試の場合、明治大学では最大9学部に出願(併願)可能、中央大学では文系全5学部で最大7出願(併願)可能となっている。ただし、出願(併願)数を増やしただけで、合格可能性が広がるわけではないという現実も認識しておきたい。
 まず、受験(出願)しやすいということで全国的に多数の受験生を集めやすく(試験会場を全国に設けている大学が多い)、高倍率になりやすい。その傾向は、難関校ほど顕著だ。
 加えて、各学部・学科のこの方式での募集定員は、ごくわずかなことも多い。学部・学科ごとに行われる入試よりも合格ラインは高くなりがちなことも事実だ。決して安易に考えないようにしよう。
 さらに大切なことは、出願して合格できた学部・学科が第一志望とかけ離れていた場合、入学後、そこで自分のやりたいことが見つけられるのかという点。もし、見つけられなかった場合に、入学後、どの程度のコース変更が可能か、ということについても、事前にチェックしておいたほうがいいだろう。
 下記掲載の表のとおり、首都圏でも多数の私立大学が統一入試を実施している。しかし、同じような名称でも、そのシステムは大学によって大きく異なっているため、注意が必要だ。統一入試で他学部・学科の併願が認められている場合もあれば、不可の場合もある。また、全学部・学科に同じ入試問題を課す大学も、学部・学科でまったく異なる入試問題を課す大学もあるので、過去問をしっかりチェックしておくことも大切だ。 lockon19_a_img03

インターネット出願の利用や「ネット割引」を有効に活用

 オープンキャンパスの参加申し込みがインターネットで行われるのは、ごく当たり前のことになっているが、インターネットを利用した出願を導入する大学も増えている。
 2014年度入試から、芝浦工業大学、東京都市大学、東京電機大学などがインターネット出願を新たに導入。東洋大学、武蔵野大学は、2014年度から原則的に一般入試の出願をインターネットのみで受け付ける。
 インターネット出願(以下、ネット出願と略)によって、大学側は事務作業が簡素化でき、受験生にとっても、「願書を取り寄せる手間が省ける」「24時間出願できる」「締め切り時刻の直前まで出願できる」「画面入力することで願書の記入モレや誤記がチェックできる」といったメリットがある。
 入試業務や紙の願書の印刷代など、ネット出願導入によるコスト削減分を受験生に還元する意味合いから、「ネット割引」を導入する大学も増えている。下記に掲載の表のとおり、「ネット割引」による割引額は郵送の場合に比べて、1出願あたり2,000円~5,000円程度。併願の場合、さらに割引されたり、通常の併願割引制度と併用できたりするため、出願(併願)数が増えるほど大幅に割引されて、お得感が増す場合もある。
 ただし、ネット出願の場合も、高校からの調査書と受験票に貼る顔写真は郵送する必要があり、入学検定料の支払いがインターネット決済できるわけではない。また、個人情報に対するセキュリティーの不安や、インターネットの利用環境が整っていない受験生への対応など、まだまだ課題が多いことも確か。そのメリットをよく理解した上で、有効に活用してほしい。 lockon19_a_img04

経済的負担を軽減させる各種サポート制度も

 「ネット割引」のみならず、受験生(とその保護者)の経済的負担の軽減のため、さまざまなサポートを実施する大学も増えている。
 現在、私立大学の入学検定料は、医学・歯学・芸術(音楽)系統を除き、一般入試が35,000円程度、センター試験利用入試が15,000円程度という大学が多い。とはいえ、下記に掲載の表のように、標準的な価格よりも、かなり安く設定されている大学もあり、先に述べたように、さまざまな併願割引制度を導入している大学も多い。
 また、従来はごくわずかな成績上位者だけが支給対象だった奨学金等についても、支給対象を拡大させている傾向が見られる。給付額は、年間の授業料全額相当(を1~4年間)から20~30万円程度まで、返済不要の奨学金制度を組み込んだ特別入試(スカラシップ入試、奨学生入試、特待生入試、給費生入試など)を実施している大学も目に付く。
 一般入試の一つとして実施され、合格してスカラシップ生に採用されれば、かなりの負担軽減が実現できるケースもあるので、せっかくのチャンスを逃さないように、入試を選ぶ際は、合わせて調べておこう。 lockon19_a_img05

AO入試、自己推薦入試もまだまだ出願可能

 「ネット割引」のみならず、受験生(とその保護者)の経済的負担の軽減のため、さまざまなサポートを実施する大学も増えている。
 現在、私立大学の入学検定料は、医学・歯学・芸術(音楽)系統を除き、一般入試が35,000円程度、センター試験利用入試が15,000円程度という大学が多い。とはいえ、下記に掲載の表のように、標準的な価格よりも、かなり安く設定されている大学もあり、先に述べたように、さまざまな併願割引制度を導入している大学も多い。
 また、従来はごくわずかな成績上位者だけが支給対象だった奨学金等についても、支給対象を拡大させている傾向が見られる。給付額は、年間の授業料全額相当(を1~4年間)から20~30万円程度まで、返済不要の奨学金制度を組み込んだ特別入試(スカラシップ入試、奨学生入試、特待生入試、給費生入試など)を実施している大学も目に付く。
 一般入試の一つとして実施され、合格してスカラシップ生に採用されれば、かなりの負担軽減が実現できるケースもあるので、せっかくのチャンスを逃さないように、入試を選ぶ際は、合わせて調べておこう。 lockon19_a_img05

AO入試、自己推薦入試もまだまだ出願可能

 私立大学の一般入試は1月下旬~2月下旬の約1カ月間にピークを迎えるが、3月に入ってからも入試を行っている大学は多い。どうしても現役合格したいなら、3月下旬までリベンジのチャンスはある。
 それは一般入試に限らず、AO入試や自己推薦入試の場合も、最長で3月中旬~下旬までの間に、複数回の出願時期が設定されていることも珍しくなくなっている。
 AO入試や自己推薦入試は、学力試験では判定できない受験生の能力や活動、人物を多面的に評価し、入学者の選抜を行うもの。その大学で学びたい、という受験生の意欲や目的意識が問われ、さまざまな側面から丁寧で総合的な評価による選抜が行われることが多い。オープンキャンパスや入試説明会に参加して、個別相談することがAO入試のエントリーの必須条件になっていることもあるが、出願時期が遅くなるほど、既にオープンキャンパスなどが終了している場合も(個別対応してくれる大学も)あるため、まさに“意欲が問われる”ことになるかもしれない。
 また、AO入試や自己推薦入試の実施内容は、大学(採用方式)によって大きく異なっており、一般入試以上に複雑な側面もある。募集要項のチェックを念入りに行い、不明点は大学にちゃんと問い合わせるなど、手間を惜しまないことが大切だ。

“入りたい大学”を“入れる大学”にするための情報収集を

 4年制大学は数を増やし続けているし、大学の収容力(志願者数に対する全入学者の割合。広い意味での合格率)は、限りなく100%に近い。既に実態は“ほぼ大学全入時代”を迎えているようだ。その中で、「入りやすい大学はより入りやすく」なり、難関大学や受験生の人気を集める大学の「入りにくさ」は変わっていないとも言われる。「希望すれば誰でも入れる」にもかかわらず、受験生から敬遠されて定員割れになっている大学と、「入りたいけれど簡単ではない」ため、常に高倍率になっている大学との二極化現象も顕著だ。「資格の取れる」「就職動向が堅調」な学部・学科が注目され、「地元志向」「安全志向」の出願傾向は、2014年度入試でも、あまり変わらないだろう。
 高等学校卒業者の7割以上が4年制大学・短大に進学し、現役での大学・短大への入学者は5割以上にのぼっている。出願までの情報収集や、ちょっとした注意が、「“入りたい大学”を“入れる大学”にする」ための分かれ目になることもある。発信される情報へのアクセスをおこたらず、自分にマッチした入試を選び、合格の可能性を広げていこう。