大学チャンネル.com » 2013年12月1日アップ » 学びたいことは言葉にしよう。誰かが必ず応援してくれる

コラム

今村亮の誌上“カタリバ” 大学生×高校生 自分の未来は自分でつくる!

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学びたいことは言葉にしよう。誰かが必ず応援してくれる

 

高3の夏、渡航を実現させたキューバで、みさき (右端)とひびき(左端)。中央はキューバでお世 話になった民宿のママ、YOHANCYさん。 高3の夏、渡航を実現させたキューバで、みさき (右端)とひびき(左端)。中央はキューバでお世話になった民宿のママ、YOHANCYさん。

 

 キューバから絵葉書が届いたのは、2010年の夏のことでした。
 その絵葉書の絵柄が何だったか、僕はどうしても思い出すことができないんだけど、葉書からはみ出しそうな勢いで書かれた日本語とスペイン語の、ボールペンの藍色は今でも忘れられずにいます。
 絵葉書を送ってくれたのは、当時高校3年生だった2人の女の子です。名前は「みさき」と「ひびき」。
 僕が2人に出会ったのは、絵葉書が届く1年ほど前のことでした。別々の高校に通っていた2人は、とある進路イベントに参加するために、NPOカタリバを訪れてくれたのでした。
そのときは、明るくて元気な2人だな、というくらいの印象しかなかったので、彼女たちが「私たちはキューバに行きます」と言い始めたときには、さすがにびっくりしました。「キューバ?……どうしてキューバなんだろう?」。
 皆さんには、何時間でも語り続けられるほど興味を持っている何かがありますか? 「歴史年号」「アイドル」「単車」「天体」「サッカー」「音楽」など、自分にとって大事な趣味が、きっと一つはあると思います。当時のみさき・ひびきにとって、それは「キューバ」でした。
 「みさきとひびきの素っ裸キューバ!」というWEBサイトを見よう見まねでつくって、2人はこう記しました。
 「本当にいきなりですが、私たちはこの夏、キューバに行きます。日本から距離も文化も遠い異国にも、同じ17歳の高校生はいるはず。ハッピーなことも、悲しいこともたくさん抱えて、同じように悩んでたりするはず」。そして、キューバの17歳100人をチェキ(インスタントカメラ)で撮って、日本で写真展を開催するというのです。
素晴らしい考えです。素晴らしい行動力です。ただし、問題が一つありました。それは旅行資金です。
 2人は考えました。「何十万円という費用をどうしよう?」……。
そして2人は、アルバイトをすることも、家族に頼み込むこともしませんでした。旅の企画書を作成して、東京中を駆け回って、大人や企業に訴えかけ、資金を集めることに決めたのです。いつしか、2人の情熱に感化されて、1人また1人、1社また1社と、彼女たちの応援者が増えました。その結果、WEBサイト完成後1ヶ月で、彼女たちの高校最後の夏休みをかけたキューバ渡航実現が決まりました。
 高校時代には、2人のように自分が学びたいと思ったことに徹底的に取り組むべきだと思います。部活でも、研究でも、趣味でも、何でもいい。まずは情熱を言葉にしよう。すると、必ず誰かが応援してくれます。今では、みさきとひびきのような行動力がなくっても、「READYFOR?」や「CAMPFIRE」といった安全なインターネットサイトが、高校生・未成年の資金調達を身近なものにしてくれつつあります。あれから3年。日本に帰った後、2人はそれぞれ別の進路を選びました。
 みさきは日本の私立大学で音楽活動に打ち込んでいます。ひびきはアメリカの名門ウェズリアン大学に進学しました。今でも2人が撮ったチェキの写真は、永遠に色褪せないまま、WEBサイトにアップされています。
 そんなわけで、NPOカタリバが、大学生の進路選択のドラマをお届けしてきたこのコラムも、今回で最終回になりました。誰かと自分の考えを語りたいと思ったときには、ぜひインターネットで「カタリバ」と検索してみてください。いつでも、“きっかけ”を用意して、お待ちしています。

プロフィール
今村 亮(いまむら・りょう)
認定NPO法人カタリバ 統括ディレクター。 1982年熊本市生まれ。東京都立大学人文学部社会学科卒業。学生時代からNPOカタリバの事業立ち上げに参画。熊本大学非常勤講師、慶應義塾大学非常勤講師、SFC研究所所員(訪問)。 Twitter:@ryo_imamura