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コラム

河本敏治の本を読め!元気になる知的格納庫

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第3回 攻撃的読書のために

第3回 攻撃的読書のために

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誰にでも開かれている
検索窓の活用で視野を広げる

前回は攻撃的読書の方法についてまとめました。簡単に要約すると以下のとおりです。
1.書籍販売サイトを開く
2.検索欄に書名を入れるのではなく、進学したい学部名、学科名、専攻名を入れ、さらに「新書」という言葉を加え、検索する
(例:「法学部 法律学科 新書」という形です)
3.次々と本が登場するので、中身検索やレビュー(読者による感想文)を読み、面白そうな本を5冊から10冊、ピックアップ
4.その本を入手し、ひたすら流し読みするというものでした。

 流し読みをすることの意味は、じっくり読むための本を選択するために、まず流し読みで多くの本に当たることが大切だからです。そして、この書籍探索を行ってみると、本を選択する視野が一気に広がることがわかります。読書家であった人も、読書嫌いであった人も同じように視野の拡大を体感することができます。
 例えば、同じ大学に進学する新入生がいたとして、一方が「何もせず、ただ入学まで決められた型通りの勉強をしているだけの学生」、もう一方が「攻撃的読書をしている学生」ならば、もちろん入学後の成長は後者の方に偏って現れます。大学入学後のイメージを持っている学生の優位性は測り知れないものがあります。そして、工夫はここに止まりません。書籍販売サイトの検索窓に「学部名、学科名、専攻名」だけを入れるのではまだ深みが足りません。
大学のホームページには「講義名」「ゼミ名」「教員の経歴」「論文」などさまざまな探求型の学びに関連するワードがあふれています。書籍販売サイトに、そういったワードを入れていくと、極めて興味深いことが起こります。検索するだけで皆さんが進学を希望する学部、学科にまつわる本が、この世界には大量に存在していることがわかります。
 さらに、検索ワードの後に、「初心者」「基礎から」「はじめから」などという言葉を付け加えると、あまりにも専門的な本は除外され、初心者向きの本だけが並びます。この中から、また面白そうな本を選択し、購入したり、図書館で借りたりすればいいわけです。膨大な本の中から、読むべき本の候補を抜き出すのは検索ワードの付け加えだけです。
このように、この世界で何かをしたいと考えた時、まず問われるのは検索ワードをどのように組み合わせるかということ、あるいはもっとはっきり言ってしまえば、その組み合わせのセンスです。
 大量の情報を検索ワードによって絞り込み、自分のレベル、さらに世界観に合う本を見出し、それを大学での探求の補助とする……こういったことを実践する学生の成長はそれこそ測り知れません。
 実は、就職活動の初動もこれとまったく同じ動きが求められます。就職した後のイメージを持たずに就職活動をしても評価されないのは当然です。探求の入り口に検索窓があり、それは誰にでも開かれているのに、それを利用しないというのは、人生における大きな損失とまで言いたくなります。

1冊の愛読書の発見から
鎖のようにつながる読書

 さて、このように次々と本を選び、次々と流し読みをしていくと、やがて、じっくり読んでみたい本との出会いがあります。その本を大切にしてください。さらに、全部は難しくて読めなくても、「この20 ページに感動!」ということもあります。それも自分の愛読書ラインナップに挙げてください。
 そうした愛読書が集まりだしたならば、再び書籍販売サイトの検索窓に向かってください。その検索窓に今度は、自分の愛読書のタイトルを入力し、検索してみます。詳細が現れたならば、下にスクロールして、ぜひ、「この本を買っている人はこの本を買っている」の項目を見つけてください。
 極端に言えば、1 冊の感動する愛読書さえ発見できれば、あとは「この本を買っている人は……」を参照することで、関連する本を一気に探し出すことができます。
もちろん、レビュー(読者による感想文)を読み、中身を検討し、面白そうであれば、購入するか、図書館で借りてください。
 そこで本が鎖のようにつながり、読書が止まることがなくなります。読書が苦手だった人も、本を読む感動が得られ、かつその意義や効能を感じ取ることができます。この感覚は誰にでも開かれたものです。
これが攻撃的読書の全貌です。

攻撃的読書の実践が
人生を大きく飛躍させる

 この攻撃的読書には数えきれないほどの効能があります。一つずつ挙げて行きましょう。
まずは「速く読める」ようになります。本を速く読むということは、いい加減に読むこととは違います。速く読むためには、自然と速く読むようになったという軌跡が必要です。そして、「どんどん読み進めたい!」と心の底から思うような本との出会いが必須です。
また、漢字の識別能力が格段に上がります。漢字の意味、読みについて基本的なことを間違えて恥をかくということが格段に減ります。内容に深く入って感動するということは、その文字を深く受け止めるということでもあるのです。
 さらに、AO 入試、推薦入試の志望動機の作成には極めて大きな役割を果たします。「なぜこの学部を志すのか」──こういった問いに対しては、「1 冊の本と出会ったからです」と答えれば、十分に説得力があります。面接でも、本との出会いを感動をもって語る場面があれば、面接官の心を打つことが可能です。加えて、小論文では読んできたことを消化することで、それがアイディアの源となります。平凡な小論文から抜け出し、きらりと光るものを書く準備として読書を活用することができるのです。
 まだまだ他にも攻撃的読書の効用はありますが、挙げていてはきりがありません。
しかし、これだけは胸に刻んでください。自分の心の奥底に届くような本、それも、自分が大学で学ぼうと思っているものに関連する本を、上手く選び出すことができれば、それはかけがえのない心の成長に寄与するものです。これは大げさな言い方をすれば、人生に関わることだとも言えます。
 ぜひ、読者の皆さんは、この攻撃的読書を実践して、自分の人生を大きく飛躍させてみてください。これまでとは違った一気に大きく成長したもう一人の自分と出会うことができるはずです。

プロフィール
河本敏浩(かわもと・としひろ)
(社)全国学力研究会理事長、思考計画(株)代表取締役。1967年生まれ。同志社大学文学研究科新聞学専攻修士課程修了。予備校講師を経て教育コンサルタント会社を起業。年間100回以上の講座・講演を全国の高校などで行っている。著書に『名ばかり大学生』など。