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文系学部の魅力 を探る

文系学部の学びのフィールドは幅広い分野を網羅している。
ただ、どんなことを学び、それがどんな将来につながっているのか、少しわかりにくさがあるのも、学びの幅広さゆえかもしれない。
この数年、就職に手堅いイメージが強い理系学部に比べて、文系学部の人気は衰え気味という評判を聞くこともしばしば。実は、文系学部はかなり魅力的なラインナップとなっている。
その豊かなフィールドを改めて見渡し、学びたいことを探ってみよう。

人間の文化と社会を取り巻くあらゆることが学びの対象に

大学の学問のジャンルは基本的に、「人文科学」「社会科学」「自然科学」の3系統をベースとしているが、さらに、この大枠を超えて複数の領域が融合した応用分野(家政、教育、芸術の各系統)や、新しいジャンルに関わる総合・学際系統、文理を問わない多分野に関係している環境学系統なども挙げられる。

「人間の文化に関わることを対象とする人文科学」と、「人間社会にまつわることが対象になる社会科学」、そして「自然現象を探究する自然科学」のうち、主に文系学部が扱うジャンルは人文科学と社会科学、および派生する融合領域になるが、そこに含まれる学問分野は広範で多岐にわたっているうえ、奥が深い。

下に掲載した一覧は、中央大学に設置されている文系5学部14学科13専攻で追究できる学問分野の例をまとめたもの。これを見てもわかるように、1つの学問分野に複数の学部・学科・専攻からのアプローチが可能な場合もあれば、1つの学科・専攻が複数の学問分野に関わっている場合もある。

例えば、経済学は経済学部の各学科と法学部の国際企業関係法学科でメインに学ぶことができるが、法学部の法律学科と政治学科、商学部の各学科、総合政策学部の2学科でも、幅広く学ぶことができる。

その一方、総合政策学部の2学科は、外国語学、言語学、文化学、映像をメインで学べることに加えて、考古学・文化財学、教育学、心理学を除く人文科学と社会科学の多彩な学問分野、さらに融合領域や自然科学のいくつもの学問分野についても幅広く学ぶことが可能だ。

中央大学の文系5学部14学科13専攻で追究できる学問分野の例
中央大学の文系5学部14学科13専攻で追究できる学問分野の例
★ その学部・学科でメインに学べる学問  ☆幅広く学べる学問分野の一つ

最初から専攻を絞ることも広い分野から選択することも

13の専攻がある文学部人文社会学科の場合、「哲学」「西洋史」「東洋史」「日本史」「考古学」「教育学」「心理学」など、学びたい学問分野がわかっているのなら、ピンポイントで専攻を選びやすい。中央大学文学部では、600以上の専門科目を設置し、そのうちの約300は専攻を超えて自由に履修できる。自分の専攻分野を追究しながら、各自の興味に応じて幅広い分野を学ぶことも、専攻分野に関連した科目を中心にした学びをさらに深めていくこともできる。

それとは逆に、多様な分野に関心がわたり、学びたい学問分野を絞り込むことが難しい場合は、総合・学際系統の学部を選択するといいかもしれない。総合政策学部では政治、経済、法律、宗教、文化、歴史、10種類の外国語、数理的方法論といった多岐にわたる分野から広く学ぶことができる300以上の科目を設置。そのうち1割以上の科目の授業は全て英語で実施される。

今年4月にスタートした上智大学の総合グローバル学部、2015年4月に新設される青山学院大学の地球社会共生学部など、「総合・学際系統+グローバル(国際)系」の要素を持った新学部も生まれている。また、「総合・学際系統(教養系)+グローバル系」では、国際教養学部が上智大学、獨協大学、法政大学(グローバル教養学部)、創価大学などに設置され、2015年4月には、順天堂大学、千葉商科大学にも新たに国際教養学部が誕生する。

総合政策学部などを含むグローバル系の学部系統では、広い分野を学びながら、語学力とグローバルなコミュニケーション力を磨き、各自が目指す専門性を身につける、という学びのスタイルを選ぶこともできる。

学んだ分野によって職業が限定されないメリットも

医師(医学部)、歯科医師(歯学部)、獣医師(獣医学部)、薬剤師(薬学部)といった専門職に就くためには、大学の特定の学部に入学して、規定の課程を修め、各国家試験に合格しなければならない。こうしたわかりやすさがない文系学部は「学んだことが職業に結びつきにくい(社会であまり役立たない)のでは」と思われがちなことも事実だ。

法曹(裁判官、検察官、弁護士)を目指すなら、まず法学部(法律学科)で学ぶことが合理的だが、その先の法科大学院の門戸は、法学部出身者以外(法学未履修者)にも開かれている。そして、法学部で法律を専攻する学生の進路が法律の専門分野に限定されるわけではないことはもちろんだ。「学んだことに職業が結びつきにくい」のではなく、「学んだ分野によって職業が限定されない」と考えたほうがいいかもしれない。

日本の大学の過半数を占める文系学部の多彩な学び

今、国公私立を合わせた日本の大学には、2,000種以上、名称別では5,000を大きく超える学科が置かれている。特に近年、学部・学科の改編やそれにともなう名称変更の動きはめまぐるしいものがある。同じ学部なら、どの学科に所属していても他学科の科目が比較的自由に履修できるケースや、入学後2年次までに学科や専攻の選択ができるケース、あるいは当初の所属学科・専攻を2年次に進級する際に限って変更可能なケースなどもあれば、その逆(入学後の変更は不可)もある。志望を決める時、学科や専攻の名称とともにその内容を調べることは当然だが、判断が難しい場合は「入学後、どんなシステムで学ぶのか」についても調べておいたほうがいいだろう。

下のグラフは、文部科学省の学校基本調査による大学の学部(関係学科別)学生の構成比を、2004年度と2014年度で対比させたものだ。この10年で人文科学と社会科学の比率が低下し、教育、薬学が比率を上げている。また、その他の比率が6.6%から12.9%と約2倍になっているが、その背景には、総合・学際系統をはじめとした融合分野の学部・学科系統の増加が考えられ、その分、人文科学と社会科学の比率が低下したものと思われる。いずれにしても、人文科学と社会科学が全体の約半数(2014年度は47.2%、2004年度は54.7%)を占め、その他に含まれる文系分野を合わせると、日本の大学では過半数が文系(学部)ということになる。

大学の学部(関係学科別)学生の構成比の推移
大学の学部(関係学科別)学生の構成比の推移

豊かな学びのフィールドからさまざまな進路が開かれる

多彩で広く深い文系学部の学びの中から、いったい何を選べばいいかわからない場合も少なくないだろう。「好きな教科を伸ばす」「得意科目を生かす」「鍛えたい能力を磨く」など、ポジティブな選択ができればいいが、「何となく興味をひかれる」「さほど嫌い(苦手)ではない」「面白そうな気がする」といったことでも、ほんのささいなきっかけさえあれば、文系の学問分野の多種多様なラインナップの中から、きっと、それが学べる(該当する)学部・学科や専攻を見つけられるだろう。

その出発点は、自分の興味や関心。「やってみたい」「面白い」と感じられることをつきつめていけば、その先には豊かな学びのフィールドが広がっているし、それを学ぶためにふさわしい学部・学科や専攻を置くキャンパスにたどりつくだろう。そして、文系学部で4年間、自分の“やってみたいこと”を追究した先には、さまざまな進路が開かれるはずだ。