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理工系学部の現在と未来

理工系学部の現在と未来
長く低迷を続ける経済状況の下で、ここ数年、“就職に強い”とされる理工系の学部が人気を集めている。
ひとくちに理工系と言っても、多彩な学部・学科や専攻があり、学べる範囲は相当広い。理工系学部の今を知って、自分が目指したい将来を考えるきっかけにしよう。

理科離れを転換させる“リケ女”の意欲とパワー

10年以上前から、子どもの理科・数学離れが問題視され、高校生の理系(理工系)離れは大学入試の志願者数減となって現れていた。それが2008年度入試では増加に転じ、以降、理工系学部全体の志願者数は回復。好景気の時代は文系が人気、不景気で採用が厳しくなると、地道で手堅さのある理系の人気が高くなると言われている。文部科学省の学校基本調査でも、2013年4月1日現在の就職内定率は理系が96.2%、文系が93.4%だった。

4年制大学進学率が伸び続けている中で、就職に有利とされる理系の進路を選ぶ女子生徒が増加している。理系女子を総称する“リケ女”、土木系女子の“ドボ女”のみならず、農学部で学ぶ農学女子の“農ガール”も増加中という。この数年、女子中高生の理系進路選択支援を目的として、多様な体験型ワークショップやイベントが各大学で催されている。さまざまなきっかけづくりの効果や、理系分野で女性の活躍の場が拡大していること、先輩たちの姿を見てロールモデルが描きやすくなったことなどを背景に、現実的で堅実派が多い女子生徒の理系を目指そうというモチベーションが高まっているのかもしれない。

生物・化学系、バイオ系をはじめ、女子学生が特性を活かして活躍しやすい分野も多い。理学部5学科を持つ国立のお茶の水女子大学や、私立女子大で唯一の理学部を置く日本女子大学は当然、女子率100%だが、共学でも女子学生の比率がかなり高い学科や専攻もある。東邦大学理学部は約4割が女子学生。生物分子科学科の女子の比率は約6割という。キャンパス内に女子学生専用のフロアやロッカールームを設けるなど、“リケ女”が心地よく過ごせる、学びやすい環境づくりにも、さまざまな配慮をする大学が増えている。

意欲的な“リケ女”は、男子学生にとってもいい刺激になるはずだし、理工系人気を支え、就職実績向上にも貢献しているに違いない。元気な“リケ女”の存在が、理工系学部を活性化させているのかもしれない。

工学部から理工学部への改組次代に挑む工学部の新設も

自然現象の解明に挑む理学(Science)、それを社会に役立てようとする工学(Engineering)、双方を融合し、総合的、学際的な教育・研究を行う理工学(Science and Engineering)と位置づけられるが、実は、それほどすっきりしたものでもなく、理学部、工学部、理工学部の境界には流動的な要素も多い。

歴史的背景から、国公立大学には理学部と工学部が、私立大学には理工学部が多く設置されてきたが、2005年成蹊大学、2007年国士舘大学、2008年法政大学、2009年東洋大学、2013年関東学院大学、2015年創価大学(予定)と、特に2000年代半ば頃から私立大学を中心に、工学部から理工学部への改組が相次ぎ、理工学部の大規模な学科再編・改編も行われている。国立大学でも、2011年には横浜国立大学で、工学部と理学教育を担っていた教育人間科学部を改組した理工学部が誕生。2013年には群馬大学に、工学部を改組して理工学部が新設された。

一方、2015年4月、東京工科大学ではサステイナブル工学を追究する工学部を新設予定(設置届出書類提出中)。同様に、工学院大学は先進工学部(仮称)を設置構想中だ。それぞれの大学で、次代の工学を目指す挑戦も始まっている。

首都圏主要大学の理工系学部・学科
※[学部]の表記のないものは全て理工学部の学科
首都圏主要大学の理工系学部・学科
首都圏主要大学の工学系学部・学科
※[学部]の表記のないものは全て工学部の学科
首都圏主要大学の工学系学部・学科
首都圏主要大学の理学部・学科
※[学部]の表記のないものは全て理学部の学科
首都圏主要大学の理学部・学科

最先端分野の多様な課題にどうアプローチしているか

サイエンスとエンジニアリングの両方の視点を持ち、未来の新たなテクノロジーを追究し続けている理工(系)学部。最先端分野の多様な課題に直結し、さまざまな境界領域を研究対象にしているため、設置されている学科・系も多岐にわたる。新しい時代の要請をフォローする学問領域に比較的柔軟な対応がしやすいことは、理工系学部の特質の一つだ。

一つの分野に、複数の異なる学科からのアプローチが行われるのも珍しいことではないし、逆に一つの学科が複数の分野を対象にすることも多い。たいへんよく似た、同じとしか思えない名称の学科なのに、対象分野がまったく違っていることもあれば、学科の名称からは“近さ”がほとんどわからないのに、対象分野が似通っている場合もある。

近年の改組の例からもわかるように、工学部を母体に、理学系の学科を加えて理工学部や理工系学部に転換したケースは少なくない。たとえ同じ名称の学科でも、学部設立の背景が違えば、アプローチの方法や、カリキュラムが、まったくと言っていいほど違っている場合も。自分のイメージや思い込みにとらわれず、情報を集めてよく内容を調べ、納得した上で、志望を決めよう。

自分で調べてもわかりにくいなら、オープンキャンパスや進学相談会などに参加して、直接、疑問点を質問してみることをオススメする。研究室を訪ねて、教員の話を聞くことができたり、その学科で学んでいる先輩に尋ねてみたりできれば、グンと理解しやすくなるだろう。

未来を切り拓く学びの分野からやってみたいことを見つける

未知の世界を見せてくれる、未来を切り拓く理工学系の学びの分野は多彩。2013年4月、中央大学理工学部に新設された人間総合理工学科は、入学後に幅広い工学の基礎科目を学び、ベースとなる基礎力を身につけた上で、「人を知る・測る」「人の健康」「人と生活環境」「人と物質・エネルギー」の4領域から深く専門にアプローチしていくことが可能な、フレキシブルな学びが特徴だ。

中には、2年次までに学科・系を選択できるシステムの大学もあるが、大半は出願時に学科・系などを選択することになる。合格するための対策や勉強は、もちろん大切だが、志望学科選びにも手を抜かずに取り組もう。「これだ!」と思えるものを見つけることが、将来につながっていくはずだ。